通訳現場でよく耳にするオーストラリア英語の独特な言葉や表現

シドニー

 

ビジネスで、または個人的にオージーと話した経験のある方なら、教科書や英会話教室で習った英語と全く異なる言い回しに戸惑われたことがあるのではないでしょうか?オーストラリアに住んでいて、日常会話やビジネスシーンでよく耳にする英語や、オージーイングリッシュの独特な言葉や言い回しをいくつかご紹介します。

オーストラリアでよく使われる慣用句

No worries

オーストラリアの代表的な言い回しNo1、直訳すれば[心配無用]ですが、会話の流れや、その人の言い方次第で色々な意味に使えてとても便利な言葉なので、どのようなシーンでも未だに色あせることなく使われています。各国からの移民がまず最初に覚える便利な言葉、と言っても過言ではないでしょう。

お願い事をしたときに“No worries”と言われれば、大丈夫、やってあげますよ。という意味だし、謝罪したときの返事として言われれば、大丈夫、気にしないで、の意味。でも、相手によっては安請け合いで調子よく返事しただけ、といった場合もあるので、「ほんと?」と少し確度を下げて受け取る方が無難なこともあります。何を言っても“No worries”と返事をする人が結構いるので。

これに似た表現で “no dramas” というのもありますが、これも’大したことないよ、大丈夫だよ“といった感じです。“No big drama” と返事されたら、それほど気にするようなことじゃないよ、といった意味。こちらの反応に対して相手が大げさだと思った時、例えば恐縮して謝ったりした時に、そんなに大げさに恐縮するようなことじゃないよ、といったニュアンスで返されます。

All good

「全て良い」、つまり「問題ない」ということ。店でややこしい注文をしたときなどの返事でよく聞きます。

No problem

“Not a problem” とも言います。こちらも「問題ない」という意味で、大丈夫ですよ、といったニュアンスでビジネスでもよくつかわれます。オーストラリアだけでなく、他の英語圏でも一般的な用語ですが、オーストラリアで感謝の言葉の返事として最も一般的に言う言葉は“No problem” で、“You are welcome”というのはあまり聞きません。

Sure thing

「もちろんです」という意味で、同意や肯定を表す場合に使われますが、同僚や親しい上下関係の仲では耳にしますが、カジュアルな言い方なので、顧客相手には使わない方が無難です。

She’ll be right

「大丈夫だよ」という意味で、心配している相手の状況を安心させるときに良く使われます。

Fair go

母国イギリスから不当に連れてこられたり、不平等な社会階級でチャンスをもらえなかった人たちが入植して作り上げてきたオーストラリアの歴史と深い関わりがある言葉で、差別のない、平等な、公平なチャンス、といった意味です。まさしくオーストラリアの基本精神といえるでしょう。“Fair Go for All”   という考え方は政府や様々な組織でポリシーとして明記されており、オーストラリア軍の職場でのハラスメントなど、不公平な問題に関する相談窓口には “Army Fair Go Hotline”という名称がつけられています。

Fair dinkum

直訳は「公平な仕事」、正真正銘、本当!のような意味が多いようですが、イントネーションやシチュエーションによって様々な解釈になり得るので、体験しながら感覚的に理解していくしかない言葉です。ポジティブなニュアンスで「なるほどね」「マジ?」といった受け答えで聞くことが多い気がします。渡豪して初めてご近所のオージーのおじさんにこれを言われた時は意味が分かりませんでしたが、その時やっていた作業からして、日本人の女の子が予想に反して地に足の着いたことをやっていることよ、とか、へえ、見直したぜ、のようなニュアンスだったのだと思います。

Mate

メートではなくマイトに近い発音です。Mateはイギリスで古くから使われていた言葉で、15世紀に労働者階級で仲間同士の挨拶で使われ始め現在に至っているようです。オーストラリアではfriendshipに比べてmate shipは相手との絆がより強い関係です。私の息子が“He is my mate!”と言うときは決まって、友人のために人肌脱ごうと男気を出したり、友人をかばう時で、何をおいても力になる、という強い意志を感じます。Mateには同じ釜の飯を食った仲間、といったニュアンスを感じます。

Mateを使った言葉でよく聞く表現には “mate’s rates” =お友達レート(値段を安くしてほしい時)、“Good on ya mate”=よかったね(そのままの意味と、皮肉で言う場合があります) “No worries, mate”などがあります。また相手の良心に訴えるときにも “Mate, please, just give me one more week”、一週間まってくれないか?などといって、相手が断りにくくなるような手としても使われたりします。

Mateは女性はあまり使わない言葉で、White Colourの男性も仲間内では使いますが、どちらかというとBlue Colour の男性がどこでも気安く使う言葉です。私はアジア人の女性と侮って言うことを聞いてくれない職人さんや作業員などに、よくわざと“Mate”を使って自分たちと同類の人として扱ってもらい、言うことを聞いてもらえるような工夫をすることがあります。

my cup of tea

これはイギリスで使われている英語の慣用句がオーストラリアでもそのまま使われています。自分に向いたものを指し、不得意なことを少しやわらげて伝えるときに“ It’s not my cup of tea”などと使うと便利です。“tea” はお茶という意味だけでなく夕食を指すこともあります。

 

like the back of one’s hand

「手の甲のように」とは、「とても良く知っている、熟知している」といった意味です。他の英語圏でも同様に使われています。

Beating around the bush

「茂みの周りを叩く」とは、狩りで行われた手法で、茂みに隠れた獲物を捕まえるために茂みをたたきながら追い詰めていくことからきています。「遠まわしな言い方」をやめて率直に伝えるように相手を促したり、直截的な発言をする時にアプローチとして使うと便利な表現です。

Flat out

Very busyのことです。Flat strapとも言います。

Hold your horses

「馬を止めろ」とは、落ち着いて、慌てないで、先回りしないで、といった時に使いますが、状況によって相手に批判的に言われることもあります。

Spit the dummy

「おしゃぶりを吹き出す」とは、癇癪を起す、駄々をこねる、怒る、っといった時に使います。“don’t spit the dummy” と言われたら、まあ、落ち着いて、過剰に反応しないで、といったニュアンスです。

Looks like a dog’s breakfast

「犬の朝ごはんのように」、犬には失礼な言い方ですが、散らかっている状況をカラフルに表現する時に使います。英語の犬関連の慣用句には “Rain cats and dogs” =どしゃ降り、“Fight like cat and dog” =犬猿の仲など、猫とセットになった言い回しもありますね。

Piece of cake

「一切れのケーキ」、つまりたやすく食べられる、というニュアンスで、朝飯前、お茶の子さいさい、のような、簡単、楽勝という意味で使われます。簡単を表す言い回しには “Too easy” も良く使われますが、比較的新しい言葉で、若い年齢層でカジュアルに使われる場合が多い気がします。

オーストラリアでの一般的な挨拶について少しご紹介しておきます。

オーストラリアでは、”How are you?”の返事に “Fine thank you.”よりも “I’m alright, thank you, and you?”とか、“Not too bad, thank you”などが良く使われます。ビジネスでは使いませんが、”How’s it going?”(もにゃもにゃとガムを噛むように発音すると良い)と挨拶する人も多いです。

 

オージーイングリッシュ特有の略語

Aussie=Australian

Avo=avocado

Arvo=afternoon

Barbie= BBQ

Bathers=bathing suit (水着)

Bikkie= biscuit

Brekkie=breakfast

Chokkie=chocolate

Cranky=in a bad mood

Crook=sick, badly made

Cuppa=a cup of tea

Dunny=dung house (toilet)

Esky=cooler box (brand name)

Footy=football

Hubby=husband

Jammies=pyjama

Kindy=kindergarden

Mozzie=mosquito

Pressie=present

Rego=registration  (車検のようなもの)

Sikkie=sick leave (病欠)

Sunnies=sun glasses

Toastie=toast sandwich

Trackie=tracksuit pants

Uni=university

Undies=underpants

Vegies=vegetable

「-ie」「-y」で終わるパターンが多いのが分かります。

ちなみに、以前子供の学校でご一緒した日本人のお母さんが、小学校1年生のクラスで先生が”Vegies”と言っているのを聞きとがめて、”学校ではきちんとした言葉を教えてください!Vegetableと言ってください!“と要求しましたが、学校側からは無視されたようです。

 

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